比較の進め方

住宅保証の年数・延長・有償条件を比べる

住宅の保証は、「最長何年」という年数だけでは比べられません。法律上の10年間の責任、住宅会社が独自に設ける保証、設備メーカーの保証、定期点検、延長制度は、対象と根拠が異なります。初期期間、免責、費用、延長に必要な工事、事業者が補修できない場合の手続まで同じ表で読みます。

住宅保証書と10年、20年のカレンダー、延長点検の工具

このページの要点

保証年数の長さより、家族が実際に手続を続けられるかが判断の基準です。契約前に保証書・点検表・保険または供託の制度を説明する資料を受け取り、引渡し後の連絡先と保管書類を決めます。延長に必要な工事は行う時期を資金計画へ入れ、事業者が対応できない場合の制度も区別しておきましょう。

保証の対象と延長条件を分ける

法律上の責任、会社独自保証、設備保証、点検、有償延長、保険による保護を分けて比較する図
保証年数だけでなく、対象部位、免責、点検、有償工事、延長期限、受付先を並べて比べます。
  • 法律上の責任と会社独自の保証を分ける
  • 構造・防水・設備・仕上げ・地盤を別々に読む
  • 点検と不具合受付、保証延長の条件を区別する
  • 有償工事・期限・指定業者を将来支出へ入れる

法律上の10年間の責任と会社独自の保証を分ける

新築住宅では、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の責任が定められています。国土交通省は、新築住宅を供給する対象事業者に、保険への加入または保証金の供託による資力確保措置を義務付ける制度を案内しています。この法律上の責任は、住宅会社が広告で示す「最長保証」や、設備・内装まで含めて会社が独自に設ける保証とは根拠も対象も異なります。

参照元:国土交通省 新築住宅の取得をお考えの方へ:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/consumer/newly_house.html/住宅瑕疵担保履行法Q&A〈新築住宅〉:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/rikouhou/qanda2.html

法律上の責任範囲を先に読む

会社独自の保証は、保証書の名称ではなく、法律上の責任へ何を追加しているかを読みます。構造や防水の期間を延ばすのか、設備、建具、内装、防蟻、地盤など別の対象を設けるのか、初期保証と延長後で対象が変わるのかを区分します。「20年」「30年」など個別会社の年数は一般論から掲載せず、候補会社の最新の公式保証書へ結び付けます。

会社独自の保証を別欄へ置く

契約前には、保証書の見本、点検表、延長条件、保険または供託の制度を説明する資料を受け取ります。保証の開始日が引渡し日か別の日か、所有者が変わった場合に承継できるか、増改築や他社工事が対象へ与える影響も読みます。口頭の説明が保証書にない場合は、適用される条項または追加書面を受け取ります。

区分根拠・対象契約前に受け取る資料
法律上の責任構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分保険または供託の制度を説明する資料
会社独自の保証会社が定める追加対象・期間保証書の見本、免責、費用負担
設備保証メーカーまたは会社が定める対象機器型番別の保証条件・正式保証書の交付時期、修理窓口
定期点検決められた時期の状態確認点検時期、項目、無償範囲
延長制度点検・工事・申請などの条件必要工事、期限、延長後の範囲

構造・防水・設備・仕上げ・地盤を別の列で読む

保証対象を一つの「建物保証」へまとめると、どの不具合をどこへ連絡するかが分かりません。構造、防水、設備、内装・建具などの仕上げ、地盤へ分け、対象部位、開始日、初期期間、免責、調査費、補修費、申請窓口を記します。防水では屋根、外壁、開口部など、保証書が定める範囲を読みます。設備では、本体のメーカー保証と住宅会社の対応が重なる期間、受付先、出張費や交換部品の扱いを分けます。

部位ごとに対象と免責を分ける

「無償保証」も、すべての費用が無償とは限りません。現地調査、原因調査、部品、工事、足場、養生、出張、仮住まいなど、費用が生じ得る項目を具体的な不具合例で尋ねます。たとえば、窓まわりから水が入った場合、連絡先、最初の調査、原因が保証対象外だった場合の調査費、足場が必要な場合の負担を保証書の条項へ結び付けます。設備が止まった場合も、メーカーと住宅会社のどちらへ先に連絡するかを、型番を記した一覧へ書き加えます。

設備保証の発行者と窓口を確かめる

地盤に関する保証は、地盤調査、基礎設計、施工、保証の主体が同じとは限りません。対象となる現象、期間、免責、申請者、売却時の扱いを個別資料で読みます。一般的な住宅保証の年数を地盤へ当てはめず、候補会社が採用する制度の公式書類を受け取ります。

  • 構造:対象部位[ ]/開始日[ ]/免責[ ]/連絡先[ ]
  • 防水:屋根・外壁・開口部の範囲[ ]/調査費[ ]/足場費[ ]
  • 設備:メーカー保証[ ]/会社保証[ ]/出張・部品・交換費[ ]
  • 地盤:調査者[ ]/保証主体[ ]/対象条件[ ]/申請者[ ]

定期点検と不具合が起きたときの受付を分ける

定期点検は、決められた時期に住宅の状態を見る仕組みです。不具合が起きたときに随時連絡する窓口とは、予約方法や対応範囲が異なる場合があります。点検の時期、対象部位、訪問費、点検後に交付される記録、不具合が見つかった場合の見積方法を読みます。点検が無償でも、その後の補修まで無償とは限らないため、点検結果と保証判定を分けます。

定期点検の内容と費用を読む

引渡し前には、通常の受付、夜間・休日、災害後、設備故障の連絡先を一覧にします。雨漏り、設備停止、外装の損傷など、どの状態で緊急連絡をするか、写真や動画をどこへ送るか、現地へ来る事業者は誰かを尋ねます。台風や地震による損傷は、会社保証、住宅瑕疵担保責任保険、火災・地震保険などで扱いが異なるため、原因が分からない段階で対象外と自己判断しません。まず状態を記録し、該当する窓口へ資料を示します。

不具合受付と補修判断の流れを読む

点検を受け忘れた場合の扱いも契約前に読みます。案内が届く方法、所有者側の申込が必要か、時期を過ぎると延長できないか、住所や連絡先を変更する手続を保証書へ付記します。点検を受けた日、指摘事項、補修の見積、実施日を一つの履歴へ残します。

延長に必要な有料の工事・期限・指定業者を読む

最長保証の表示は、最初からその年数まで無条件で続くことを意味するとは限りません。延長前の点検、防水、外壁、屋根、防蟻など、会社が指定する工事の実施が条件になる場合があります。何年目に、どの点検を受け、どの工事を、誰へ依頼し、いつまでに申請するかを時系列で並べます。工事を実施すればどの部位が何年延長されるのか、初期保証と同じ範囲かも読みます。

延長に必要な工事を一覧にする

指定業者以外へ工事を依頼した場合、点検時期を過ぎた場合、所有者が変わった場合、空き家期間がある場合の扱いを保証書で確かめます。他社の太陽光発電、設備、増改築などが建物へ接続されるときは、保証がすべて失われると推定せず、影響する部位と条件を書面で受け取ります。延長しない選択をした場合も、法律上の責任、終了する会社独自の保証、継続する設備保証を分けます。

期限・費用・指定業者を確認する

将来の金額が未確定でも、必要になり得る工事と実施時期は資金計画に見込んでおきます。比較表には、工事項目、見積を受け取る時期、指定業者の有無、延長後の対象、延長しない場合の終了時期を入れます。契約時点で将来かかる費用を断定せず、算定方法や見積の手順が保証書にあるかを読みます。

延長条件資料で読む内容記入例
点検時期、申込方法、無償範囲[年目]までに[窓口]へ申込
指定工事対象部位、期限、依頼先[工事]を[期限]までに実施
費用見積時期、算定方法、別途費用見積依頼[時期]/足場[含む・別]
延長後対象部位、期間、免責[部位]を[期間]延長
不実施終了する保証、残る制度会社独自の保証[終了日]/設備保証[扱い]

保険か供託かで事業者が補修できない場合の手続が変わる

住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置には、保険への加入と保証金の供託があります。契約前または引渡し時に、自宅がどちらの措置を利用するかを示す資料を受け取ります。保険の場合は、保険法人、保険の対象となる住宅と部位、保険期間、交付される書類を読みます。供託の場合は、供託している事業者であること、事業者が補修できないときに住宅取得者が権利を行使する制度の案内と相談先を受け取ります。

保険か供託かを確認する

国土交通省の制度資料は、保険を利用する住宅で事業者が倒産するなど補修できない場合、住宅取得者が保険法人へ保険金を直接請求する仕組みを示しています。供託では、事業者が責任を履行できない場合に、一定の手続により供託所から還付を受ける仕組みがあります。ただし、すべての不具合や費用が自動的に支払われるわけではありません。法律上の対象部位、損害、免責、支払いや還付の範囲と上限、必要な判定や書類があるため、制度資料と自宅の書類を照合します。

事業者と連絡が取れない、倒産した、補修を拒まれたという状況だけで請求先を決めません。まず、保険か供託か、自宅の不具合がどの部位か、引渡し日、契約書と保証書、発生状況の記録をそろえます。保険なら保険関係書類に記載された窓口、供託なら国土交通省が案内する制度窓口や住宅相談の専門窓口へ、必要な手続を尋ねます。請求期限や紛争処理の利用条件も資料で読みます。

参照元:国土交通省|住宅瑕疵担保履行法Q&A:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/rikouhou/qanda.html/国土交通省|住宅瑕疵担保履行法の概要(PDF):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/dl_files/001228363.pdf

事業者が対応できない場合の窓口を残す

比較表の記入例は、「資力確保措置[保険・供託]/保険法人または供託の制度資料[ ]/事業者が補修できない場合の請求先[ ]/必要書類[ ]/対象部位[ ]/支払いや還付の範囲・上限[資料の記載]/相談窓口[ ]」です。会社独自の長期保証が続けられなくなった場合と、法律上の責任に関する資力確保措置は同じではありません。会社が独自に設ける保証の承継制度があるかは、その会社の公式保証条件を別に読みます。

参照元:国土交通省|住宅瑕疵担保履行法Q&A:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/rikouhou/qanda.html/国土交通省|住宅瑕疵担保履行法の概要(PDF):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/dl_files/001228363.pdf

長期優良住宅の維持保全計画と会社保証を混同しない

長期優良住宅の認定を受ける場合、所有者は認定された計画に基づく維持保全を行い、その状況に関する記録を作成・保存することが求められます。維持保全計画は、住宅会社が設ける長期保証そのものではありません。認定の維持保全計画、会社の定期点検、保証延長のための点検や工事を別の表へ入れます。同じ時期に行う点検でも、目的、記録、費用、実施者が同じとは限りません。

維持保全計画の目的を分ける

契約前に、認定申請者、維持保全計画の内容、点検時期、記録の保管方法を尋ねます。保証延長の点検で維持保全計画も満たせるという説明を受けた場合は、対象項目と交付される記録を照合します。売却や相続で所有者が変わる場合の認定手続と、会社保証の承継条件も別に読みます。

点検記録を将来の判断へ使う

保証制度を比較するときは、最長年数を一列目にせず、初期保証、対象部位、免責、点検、必要な有料工事、延長後の範囲、資力確保措置、相談先の順に並べます。家族が維持保全と費用負担を続けられるかを、年表と資金表の両方で判断します。

参照元:国土交通省|住宅瑕疵担保履行法Q&A:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/rikouhou/qanda.html/国土交通省|住宅瑕疵担保履行法の概要(PDF):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/dl_files/001228363.pdf

引渡し後に請求と補修へ使える書類を残す

引渡し時には、工事請負契約書、施工内容を反映した図面、仕上表、設備の型番を記した一覧、保証書、保険または供託の関係書類、取扱説明書、点検表、維持保全計画を一か所にまとめます。紙と電子データの両方がある場合は、最新版の日付と保管場所を家族で共有します。住宅会社、設備メーカー、保険法人、緊急時の連絡先も書類ごとに付けます。

契約前・引渡し時の資料を分ける

不具合を見つけたら、発生日、場所、状態、天候や使用状況、写真・動画、応急対応、連絡した日時と相手を記録します。原因を自己判断して修理を先に進めると、調査が難しくなる場合があります。安全確保に必要な応急対応をしたうえで、保証書の窓口へ記録を示し、調査と修理の手順、費用負担を書面で受け取ります。補修後は、工事内容、使用材料、実施日、保証への影響を履歴へ追加します。

請求に必要な記録を保管する

契約前に保証の比較が終わったら、「注文住宅の契約前チェックリスト」で保証書が契約資料へ結び付いているかを読みます。延長工事を含む将来の支出は、「坪単価では分からない注文住宅の見積総額」の資金表へ実施時期とともに入れます。